
昨日は春分の日。
お彼岸の中日。
この日は誰もがご先祖様に会うためにお墓参りをするのが通例のようだ。
私にとっては仕事の休みに休日が重なるのは年に何回もない。
更にお天気は絶好の山日和。
墓参は後日に回して山を歩くことにした。
大倉尾根を塔ノ岳目指し歩き出した。
大倉高原山の家を通過。
小屋は閉まっていた。
堀山の家を通過。
小屋は閉まっていた。
やっぱりみんなお墓参りに行ってんだ。
そう思った。
登山者の中にラジオを聞きながら歩いている人を多く見かけた。
そうだ、今日はWBCの決勝戦だったのだ。
小屋の休業はWBC決勝戦を観ているのかも?
ラジオを持っている人にすれ違うたびに「どちらが勝ってます?」と聞いた。
「3:1で日本が勝ってます」
山頂では「6:1でリードしてます」
こりゃ凄い、日本優勝するかも。
久しぶりの塔ノ岳はずいぶん変わっていた。
花立から先に木道ができていた。
道を外さないようマメにロープが張られている。
山頂には祠と石造りの標識が新しく造られていた。
02年に登った以来の山頂だったのだ。
靄っている割りには遠望が効き遠くの山まで見通すことができた。
来た道を下る。
いろいろな出来事(?)に出会った。
脚が攣ったらしくうずくまって脚をさすっている男性。
転んで肘から血を出し、ティシュペーパーで止血している中年女性。
天神尾根分岐辺りで通りかかりの男性が声をかけてきた。
「去年の11月、ここで男性が亡くなったんですよ」
心臓発作で倒れたようで、通りかかった看護師の人工呼吸も甲斐なく亡くなったそうだ。
ふと見ると山道脇に誰かが手向けた花が枯れて下を向いていた。
間もなく観音茶屋だという頃、先を歩いていた男性が振り向いて声をかけてきた。
「ラジオのイヤホン、落ちていませんでしたか?」
「さぁ、気が付きませんでした」
「どこかで落としたか、ポケットに入れ忘れたか。物忘れが激しくって…」
男性はあらゆるポケットに手を突っこんで探していた。
久々によく歩いた。
”休日の山”はいろいろな出来事に出会う。