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棒の折山ルートマップ
1995年10月17日 降水確率0%、絶好の秋晴れ。
目指すは棒ノ折山(969)。

青梅線の川井駅を右折し、大丹波川に沿って車を走らせる。
すぐに大丹波国際鱒釣り場の駐車場に着く。
駐車料金500円也を払い、身支度を整えて歩き出しは9時43分であった。

登山道入り口までは車道歩きが続く。
清東橋を過ぎると、やがてトイレと休憩所がある奥茶屋に着いた。
ここの脇に棒ノ折山に入る登山道があるはずだが見あたらず、まだ先だろうとそのまま直進した。


ワサビ田の写真を撮ったり、擁壁の上に咲く名もない花を愛でたりしながらのんびり歩いていた。
道は広い林道で緩やかなカーブを描いている。
小一時間ほど歩いたところで何か変だ、と気がついた。

ガイドブックによれば登山道から急登になると書いてあったはずだ。
地図を出して確認するとやはりおかしい。

ちょうどそこに軽トラックが通りかかった。
運転手に道を聞くと、
「この先は川苔山ですよ」と言うではないか。
「私は棒ノ折山に行きたいんですが」
「ここまで来たんだったら川苔山にしたら」などと呑気なことを言う。
礼を言って急いで引き返す。

奥茶屋へ戻るとちゃんと指導標があるではないか。
さっきは指導標の脇に車が停まっていて見えなかったのだ。
これで90分も時間をロスしてしまった。

左右にワサビ田を見ながら急登が続く。
山頂は広い台地状になっていて、ベンチやあずまやが設けてあった。

コンロを出してみそ汁を作り、食後はコーヒーを湧かし、至福のとときを過ごしたあとは、
澄んだ空気が演出してくれる好展望に心を奪われる。
昼寝をしている人、仲間と新宿副都心が見えた! などと指さしあっている人も。
それぞれが思い思いの感動に浸っている。

充分に眺望を味わい、さて、引き上げようかと時間を見ると14時40分であった。
なんと、頂上に80分もいたのだ。

権次入峠、黒山と展望のない小ピークを通過、ひたすら尾根を歩く。
この尾根は小さなアップダウンがいくつもあって想像以上に長く感じる。
その上、藪が深く足元が見えないところも随所にあった。
あまり人が入らないところなのかも知れない。

燦々と輝いていた太陽が西に傾きはじめた。
つい、足早になる。太陽の傾斜と競争をしているようだ。
やっと、大丹波へ下りる分岐の名坂峠に着いた。
直進すれば高水三山のひとつ、岩茸石山だ。
名坂峠にさしかかったと同時に真横に影を落としていた太陽が姿を消した。
16時50分であった。


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