ある日、晩酌にアジのくさやが出た。 くさやは大好物のひとつで、あの何とも言えないニオイがいかにも肴という雰囲気があっていい。 ちょっと炙ってダイナミックにバリバリむしりながら食べるのがワイルドな感じでいい。 噛めば噛むほど味が出て酒の伴にはもってこいの一品なのだ。
そのくさやを口の中にほおばって一口噛んだ。 その時、ギクッと歯に痛みを感じた。 歯に被せたものが取れたのか? 調べてみたが異常はないようだ。 だが、歯の痛みは薄らぐどころかますます痛くなってきた。 痛いというよりも沁みる感じがする。
次の日、とうとうものが噛めなくなった。 水を飲んでも痛く沁みる。 そばを食べるのに、痛くて3倍もの時間がかかった。 昨夜はとうとう一切の食事ができなくなった。 そうなると、アルコールという液体で”栄養”を補給するしかない。 つまみなしで焼酎のお湯割りだけで済ませたのだ。 だから非常に酔った。 夕方になって下顎が腫れた。
今朝、一番で歯医者に駆け込んだ。 レントゲンを見て医者はクビをかしげている。 歯が折れた形跡はない。 被せものが取れた様子もない。 見た目は異常はないが確かに腫れている。 「もしかしたら捻挫だな」と、歯科医。 「捻挫??」 急激な力がひねった形で加わると捻挫を起こすことがあるのだそうだ。
炎症止めと痛み止めを貰って様子を見ることになった。 俺の歯が捻挫を起こしたのだ。 珍しいことがあるものだ。 くさやを食べるときはくれぐれも捻挫に気をつけないと。
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