お付き合いのある行政書士の先生が寄ってくれた。 女性の先生で仕事がマメで正確なのでよく仕事をお願いしている。 今年になって身体の具合を悪くしていたと聞いていたので話題はその話になった。 なんと彼女、乳ガンになっていたのだそうだ。 夏場、乳房の全摘手術をした。 その後、1ヶ月おきに通院し検査をしている。 抗ガン剤の副作用で今カツラを付けているのだが私にはまったく分からなかった。 やつれた様子もなく顔色もいい。 彼女曰く、乳ガンは他に転移しやすい代表的なものなのだそうだ。 「こればっかりは注意のしようがないわね。病気ってなる時にはなってしまうものよ」 明るく言ってのける彼女、なんと腹の坐った性格なのだろう。 女性ながらあっぱれと思った。
その晩、私は商店街の福引き大売り出しの開設所準備を手伝っていた。 私の携帯が鳴った。 仲のよい同級生だった。 「今日、妻が亡くなった…」 私は声を失った。 彼の奥さんは彼の高校時代の同級生なので私にとっても同級生なのだ。 去年、奥さんが乳ガンになったことは聞いていた。 そのあと身体のどこかに転移したが発見が早く手術し、元気になって友達の店でバイトをしていた。 ある程度元気で過ごしているものだと思っていた。 「様態が急変してね…」 彼の声は細く力がなかった。 葬儀が明後日行われる。
女性の最大の敵、乳ガン。 身近に見聞きすると他人事ではない。 行政書士の先生も転移なくこのまま元気で生涯を送ってくれるといいのだが。
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