立山の一の越から雄山までの稜線を歩いていたときふと気が付いたことがあった。 1989年10月。 税理士の一行がここで大量遭難した事件だった。 11人中8人が疲労凍死。 楽しかったはずの紅葉と温泉の山行が一瞬のうちに悲惨な事故になった。 急激な天候の変化に彷徨するパーティー。 富士の折立から真砂岳の間で数人の遺体が見つかった。 今、自分が歩いているこの山道なのだ。 歩きながら当時に思いを馳せると熱いものがこみ上げてきた。
遭難。 誰も好んでするものではない。 しかし、不幸にして命を絶った人もいる。 普段、何気なく歩いている山道でも過去に遭難の現場であることも多い。 そんなとき、無意識に頭を下げて歩いている自分に気が付く。
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