3〜4日の主脈縦走で丹沢主綾と十文字を歩いたことになる。 十文字のどこもぶつ切りに歩いていたがこれで全て繋がった。
コースの終盤、焼山で休憩をした。 中年のおじさんがひとり上がってきた。 「山はいいなぁ! 獣がいなくって」 「都会じゃ獣だらけだ。ナイフを持った人間やキレやすい奴とかアブナイ獣が多い」 「山では見知らぬ人でも挨拶をする。気持ちが良いじゃないか。都会で若い女の子に挨拶でもしてみなよ『変なおじさん』とケイサツに通報されちゃうよ」 人の良さそうなオトーサンだった。 まさに仰るとおり、ある意味では山の方が安全だ。
オトーサンは話を続ける。 「去年だったかこの先で死亡事故があったんだ」 「15人ほどのツアーの一人が150m転落して死亡した」 「ここは東海自然歩道と言って例えれば国道みたいなものだ」 「事故っていうのは『こんなところで』と言う場所で起こる」 「23歳くらいの若い女性だったんで救助した男衆は残念がっていた」
我々は事故のあったコースは通らなかったが今ではロープが張られ『転落危険』の看板が建っているらしい。
焼山登山口バス停に着いてタクシーを呼ぼうと思っていたら地元の人が三ヶ木まで車で送ってくれた。 車内で事故の話が出た。 送ってくれた人は救助に出た当事者だった。 「転落事故の時道案内を兼ねて救助に出たんだよ」 「女性だったらしいですね」と聞いた。 「そう、50代半ばの女性だった…」 20代と50代じゃだいぶ話が違う。 でも、女性であることには変わりはない。 誠にお気の毒な話だ。 下山口では一行のためにバスが迎えに来ていたのだ。 もう少しで下山。 さぞやこの女性、無念だったろう。
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