昼飯を食べに初めてのお店に入った。 入口に張り紙が貼ってあった。 「登山ハイキング仲間募集」の張り紙だった。 店のママに聞くとこの店ではなく商店街の某喫茶店のマスターに頼まれて貼ってあるのだそうだ。 某喫茶店は自分の所属する商店街に古くからある小さなお店だ。 所在は知っていたが、私は一度も入ったことはなく常連達のたまり場のような感じの店だ。 この店が山岳会もどきの同好会を作り、月一回定期的に山歩きをしていたのだ。
同じく商店街のほかほか弁当屋。 この旦那が山好きだったとは最近まで知らなかった。 「前穂から北穂を縦走したよ、いや〜、大変だった」とか、 「西沢渓谷の紅葉がきれいだった」とか、 ひょんなきっかけで山の話になった。 こいつは山好きだったんだ。 それからは「どこかへ行ったかい?」 「この夏はまだ。今計画中」などと顔を見れば山の話をするようになった。
自宅の近所の床屋さん。 ここの夫婦の山好きは噂で知っていた。
近くの工場のお兄ちゃん。 時々、ザックに登山靴姿を見かける。 声をかけると「たいした山は行ってませんよ」とはにかみながら答えた。
となりの商店街の靴屋さん。 夫婦で山好きだ。 私の顔を見ると手を引いて店の中に引っ張り込み、商売そっちのけで山の話が始まる。
通りかかったアパートの窓先をふと見ると、ワラジが干してあった。 こちらは沢やさんか。
こうしてちょっと近所を見回しただけで山好きが多いことが分かる。 やっぱり山は大勢の人に好かれているんだなぁ。
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